インフルエンザにも種類がある? A型とB型の症状の違いと対処方法
この記事の結論
- A型とB型の違いは、主にウイルスの性質と流行の時期です。A型は変異しやすく毎シーズン流行し、B型は2月〜3月以降に増えやすい傾向があります
- 症状はどちらも38度以上の高熱・頭痛・関節痛・筋肉痛・倦怠感が基本で、症状だけでは型を見分けられません。型は医療機関の抗原検査でわかります
- 治療薬・出席停止期間・感染対策はA型・B型で共通です。高齢者・幼児・妊娠中の方・持病のある方は、型を問わず早めに受診しましょう
- 2026/27シーズンのインフルエンザワクチンはA型2株・B型1株の3価で、A型・B型の両方に備えられます
インフルエンザA型とB型の違いは、主にウイルスの性質と流行の時期です。症状はどちらも38度以上の高熱・頭痛・関節痛・筋肉痛・倦怠感が急激に現れるのが基本で、症状だけで型を見分けることはできません。型は医療機関の抗原検査(迅速検査)でわかり、治療薬・出席停止期間・感染対策はA型・B型で共通です。
この記事では、A型・B型・C型の特徴、症状と経過の違い、流行時期、重症化しやすい人と合併症、検査方法、治療薬、インフルエンザ予防接種(2026/27シーズン)までを、厚生労働省や学会の資料をもとに解説します。
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A型・B型・C型インフルエンザはウイルスの性質が違う

インフルエンザウイルスには4つの型(A型・B型・C型・D型)があり、毎年冬の季節性インフルエンザを引き起こすのはA型とB型です。
A型インフルエンザの特徴
A型インフルエンザウイルスは、表面のたんぱく質(HとN)の組み合わせで多くの亜型に分かれ、ヒトだけでなくトリやブタにも感染します。抗原性が少しずつ変異するため毎シーズン流行し、まれに大きく変わった新型インフルエンザが現れると世界的な大流行(パンデミック)を起こします。
B型インフルエンザの特徴
B型インフルエンザウイルスは主にヒトの間で感染し、ビクトリア系統と山形系統の2つの系統があります。A型ほど大きな変異は起こさず、パンデミックの原因にはなりません。山形系統は2020年3月以降、世界的に検出がほとんどなく、現在流行しているB型はビクトリア系統です。
C型・D型との違い
C型は主に子どもがかかり、鼻水や咳など軽い風邪程度の症状で済むことが多く、大きな流行にはなりません。
表① A型・B型・C型インフルエンザウイルスの比較
| 項目 | A型 | B型 | C型 |
|---|---|---|---|
| 感染する動物 | ヒト・トリ・ブタなど | 主にヒト | 主にヒト |
| 亜型・系統 | H1N1・H3N2など多くの亜型 | ビクトリア系統・山形系統 | 1種類 |
| 流行の時期 | 12月〜2月がピーク | 2月〜春先に増えやすい | 通年・散発的 |
インフルエンザA型とB型の症状の違い
A型・B型に共通する症状
A型・B型とも、潜伏期間は通常1〜3日で、38度以上の高熱、悪寒、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身の倦怠感が急激に現れます。喉の痛み、鼻水、咳、くしゃみなどの呼吸器症状が遅れて現れるのが典型的な経過です。普通の風邪はのどの痛みや鼻水が中心で、全身症状は軽いのが一般的です。
A型は高熱・全身症状が強く出やすい
A型は高熱と全身症状が強く出やすいといわれます。ただし研究では、A型とB型で発熱の程度や咳・のどの痛みに決定的な差はないとする報告が多く、症状だけでA型と判断することはできません。
B型は消化器症状や二峰性発熱がみられることも
B型では、高熱に加えて腹痛・下痢・嘔吐といったお腹の症状が出ることがあるとされます。熱がいったん下がって再び上がる二峰性発熱や、微熱が長引く経過もB型で比較的みられる傾向があります。子どもではB型の後半に、ふくらはぎの筋肉痛で歩きにくくなる筋炎がみられることがあります。いずれもA型で起こることもあり、B型だけの特徴ではありません。
表② インフルエンザA型とB型の症状の比較
| 項目 | A型 | B型 |
|---|---|---|
| 潜伏期間 | 1〜3日 | 1〜3日 |
| 発熱 | 38度以上の高熱が急激に出る | 高熱が多いが微熱や二峰性発熱もある |
| 全身症状 | 頭痛・関節痛・筋肉痛・倦怠感 | 頭痛・関節痛・筋肉痛・倦怠感 |
| 消化器症状 | 少なめ | 腹痛・下痢・嘔吐を伴うことがある |
| 流行の時期 | 12月〜2月にピーク | 2月〜3月以降に増えやすい |
| 合併症 | 肺炎・気管支炎・脳症 | 肺炎・脳症・筋炎 |
| 治療薬 | 抗インフルエンザ薬 | 抗インフルエンザ薬 |
| 症状の見分け | 症状だけでは型を判断できない | 症状だけでは型を判断できない |
A型とB型はどっちがきつい?
A型とB型のどちらがきついかは一概にいえません。B型でも39度を超える高熱が出ることがあり、重症度は型よりも年齢や持病、免疫の状態に左右されます。
インフルエンザA型・B型の潜伏期間・経過・感染力

発症から回復までの経過
発熱は3〜5日ほど続き、多くは1週間程度で回復します。咳やだるさは解熱後もしばらく長引くことがあります。
感染力とうつす期間
インフルエンザは咳やくしゃみの飛沫感染と、ウイルスが付いた手を介した接触感染でうつります。発症の前日から発症後3〜7日ほどは鼻やのどからウイルスが排出されるため、解熱後も周りの人にうつす可能性があります。学校や職場で集団感染が起こりやすいのはこのためです。
A型とB型の流行時期の違い
例年、A型は12月〜2月に流行のピークを迎え、B型は2月〜3月以降の後半に増えやすい傾向があります。2026年は8月に流行入りし、例年より早くシーズン中の患者数が増えています。
A型とB型に1シーズンで2回かかることもある
A型とB型は別のウイルスのため、A型にかかったあとにB型にかかる再感染も起こります。A型の中でもH1N1とH3N2は別の亜型で、同じシーズン中に2回かかることがあります。一度かかったからと油断せず、手洗いなどの感染対策を続けましょう。
A型・B型で重症化しやすい人と合併症
重症化リスクが高い人
65歳以上の高齢者、幼児、妊娠中の方、呼吸器疾患(気管支喘息など)・心疾患・糖尿病・腎臓病などの持病がある方、免疫が低下している方は、A型・B型を問わず重症化しやすいため、発症から48時間以内を目安に早めに受診しましょう。
主な合併症
インフルエンザの合併症には、肺炎、気管支炎、中耳炎、熱性けいれん、インフルエンザ脳症などがあります。高齢者では細菌の二次感染による肺炎、子どもでは中耳炎や脳症に注意が必要です。
すぐに受診すべき症状
息苦しい・呼吸が速い、胸が痛い、水分がとれず尿が少ない、けいれんが止まらない、呼びかけへの反応が鈍い、意味のわからないことを言うなどの症状は、肺炎や脳症などの重篤な合併症のサインの可能性があるため、すぐに医療機関を受診してください。
インフルエンザA型・B型の検査方法とタイミング

抗原検査(迅速検査)で型がわかる
内科や小児科のクリニックなど医療機関では、鼻の奥を綿棒でぬぐう抗原検査(迅速検査)で、15分ほどでA型・B型を判定できます。
発熱直後は偽陰性になりやすい
発症直後はウイルス量が少なく、インフルエンザでも陰性と出る偽陰性が起こりやすくなります。発熱から12時間程度経ってからの検査が目安です。陰性でも症状や流行状況から医師が臨床診断することや、時間をおいて再検査することがあります。検査結果だけで判断せず、症状の出方や周囲の流行状況とあわせて医師が診断します。
A型・B型の治療薬と対症療法
抗インフルエンザ薬は型を問わず使われる
抗インフルエンザ薬(抗ウイルス薬)は、A型・B型どちらのウイルスの増殖も抑えます。発症から48時間以内に服用を始めると、発熱期間は通常1〜2日短縮するとされています。
抗インフルエンザ薬には、内服薬のタミフル(オセルタミビル)・ゾフルーザ(バロキサビル)、吸入薬のリレンザ(ザナミビル)・イナビル(ラニナミビル)、点滴のラピアクタ(ペラミビル)があります。
薬は年齢・体重・持病・吸入ができるかで医師が選びます。子どもでは型で選び方が変わることもあり、日本小児科学会の2025/26シーズンの指針では、6〜11歳へのゾフルーザはB型で使用を提案し、A型では慎重に判断するとしています。
対症療法と自宅療養の注意点
自宅では安静にして十分な休養をとり、こまめな水分補給で脱水を防ぎます。高熱がつらいときの解熱鎮痛薬はアセトアミノフェンが推奨され、子どもにアスピリンやジクロフェナクなどは使いません。抗インフルエンザ薬の服用の有無にかかわらず、子どもや未成年者は急に走り出すなどの異常行動を起こすことがあるため、発熱から2日間は一人にしないよう配慮しましょう。
A型・B型の予防法とインフルエンザ予防接種

2026/27シーズンのインフルエンザワクチンは3価
季節性のインフルエンザワクチン1種類で、A型・B型の両方に備えられます。2025/26シーズンから、A型2株とB型1株の3価ワクチンに変わりました。2026/27シーズンの製造株は、A/H1N1、A/H3N2、B型(ビクトリア系統)の3株です。
予防接種の時期と回数
ワクチンは接種から抗体ができて効果が出るまでに約2週間かかり、効果は5か月程度続くと考えられています。13歳未満は2回、13歳以上は1回接種します。65歳以上の方は定期接種の対象です。2歳から18歳には、鼻に噴霧する経鼻ワクチン(フルミスト)もあります。ワクチンは発症を完全には防げませんが、重症化の予防に効果があるとされています。
手洗い・マスク・加湿による感染対策
外出後の手洗い、咳エチケットとマスクの着用、人混みを避けること、こまめな換気が基本です。空気が乾燥すると気道の防御機能が低下するため、加湿器などで湿度を50〜60%に保ちましょう。アルコールによる手指消毒も有効です。
インフルエンザA型・B型で休む期間(出席停止)
学校保健安全法施行規則では、インフルエンザの出席停止期間を「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあつては、三日)を経過するまで」と定めており、A型・B型で違いはありません。大人の出勤は法律で決まっていないため、勤務先の規定を確認し、発症後5日かつ解熱後2日を目安に休養しましょう。
インフルエンザA型・B型のよくある質問

Q. A型とB型、症状だけで見分けられますか?
A. 見分けられません。B型で消化器症状が出やすいなどの傾向はありますが、A型でも起こります。型は抗原検査でわかります。
Q. 熱が出ないインフルエンザはありますか?
A. あります。高齢者やワクチンを接種した方、B型では、微熱や平熱のまま咳やだるさが続くことがあります。インフルエンザが流行しているシーズン中は、熱が低くても全身のだるさや関節の痛みがあればインフルエンザを疑い、受診を検討しましょう。
Q. B型はお腹に来る?吐き気や下痢があるときは?
A. B型では吐き気・腹痛・下痢などお腹の症状が出ることがありますが、A型や胃腸炎でも起こります。高熱や関節が痛む、体がだるいなどの全身症状を伴う場合はインフルエンザを疑い、水分補給をして医療機関に相談しましょう。
Q. インフルエンザは何日で治りますか?
A. 熱は3〜5日ほどで下がり、多くは1週間程度で治ります。熱が下がったあとも咳やだるい感じが残ることがあり、再び熱が上がる、咳が悪化するなどの場合は合併症を疑って受診しましょう。
Q. B型はA型より軽いのですか?
A. 一概に軽いとはいえません。B型でも高熱や強い倦怠感が出ることがあり、子どもでは脳症や筋炎、高齢者では肺炎などの合併症を起こすことがあります。重症化リスクのある方は型にかかわらず早めに受診しましょう。
Q. 発熱してすぐに検査を受けてもいいですか?
A. 発熱直後はウイルス量が少なく偽陰性になりやすいため、発熱から12時間程度経ってからの抗原検査が目安です。ただし、高熱でつらいときや重症化リスクのある方は、早めに受診して医師に相談しましょう。
Q. 家族がA型にかかりました。B型と同じ対策でいいですか?
A. 感染対策はA型・B型で同じです。患者は別室で療養し、マスクの着用、手洗い、換気、加湿を心がけましょう。持病のある家族や高齢者がいる場合は、医師に予防投与(自費)を相談できることもあります。
Q. インフルエンザと風邪はどう判別すればいいですか?
A. 風邪は喉の痛みや鼻水などの症状が中心で、熱は37度台のことが多く、ゆっくり始まります。インフルエンザは38度以上の高熱と悪寒・頭痛・関節痛・筋肉痛などの全身症状が急激に現れ、症状が重いのが特徴です。
Q. 妊娠中にインフルエンザにかかったらどうすればいいですか?
A. 妊娠中はインフルエンザが重症化しやすいため、A型・B型にかかわらず早めに受診しましょう。日本産科婦人科学会は抗インフルエンザ薬による早期治療を勧めています。インフルエンザワクチンの接種は、妊娠中でも医師と相談のうえ受けられます。
Q. 高齢者がA型・B型にかかったときの注意点は?
A. 65歳以上の方は、細菌の二次感染による肺炎を起こしやすく、持病が悪化することもあります。高熱が続く、息苦しい、食事や水分がとれない場合は早めに受診しましょう。
Q. 熱が下がったら翌日から出勤してもいいですか?
A. 解熱後もウイルスの排出が続くため、すぐの出勤は控えましょう。学校保健安全法の出席停止期間(発症後5日かつ解熱後2日)を目安にし、咳が残る間はマスクを着用します。
Q. A型とB型で薬は違いますか?
A. 抗インフルエンザ薬はA型・B型のどちらにも使われます。子どもでは、年齢と型によってゾフルーザを使うかどうかの判断が変わることがあります。
Q. A型にかかったあと、同じシーズンにB型にもかかりますか?
A. かかることがあります。B型や、A型の別の亜型には免疫がないため、同じシーズン中に再感染することがあります。
オンライン診療でインフルエンザの相談をする

高熱で外出がつらいときや、周りにうつしたくないときは、オンライン診療の発熱外来で医師に相談する方法もあります。オンライン診療では抗原検査ができないため、症状や自宅で使える検査キットの結果、流行状況をもとに医師が判断します。
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参考文献
- 厚生労働省「インフルエンザQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html - 厚生労働省「令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2026.html - 厚生労働省「インフルエンザの発生状況をお知らせいたします(令和8年第34週)」
https://www.mhlw.go.jp/content/001742996.pdf - 厚生労働省「2026/27シーズン向けインフルエンザHAワクチンの製造株について」
https://h-crisis.niph.go.jp/wp-content/uploads/2026/05/001702434.pdf - 厚生労働省「季節性インフルエンザHAワクチンの推奨株に関する今後の方針について」
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001298087.pdf - PMDA「フルミスト点鼻液 電子添文」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/430574_631370AR1026_1_06 - 日本小児科学会「2025/26シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20251022_2025-2026_infuru_shishin.pdf - 厚生労働省「小児のインフルエンザに伴う発熱に対する解熱剤の使用についての合意事項」
https://www.pmda.go.jp/files/000145707.pdf - e-Gov法令検索「学校保健安全法施行規則 第19条」
https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawNum=昭和三十三年文部省令第十八号;article=19 - 日本産科婦人科学会「妊婦もしくは褥婦に対しての新型インフルエンザ(H1N1)感染に対する対応Q&A」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/02-03-03.pdf
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